びわ湖の快適・安全な走り方 ビワイチ・サイクリストの流儀 走る人も見送る人も幸せになるために

「びわこじてんしゃ 2018 秋 Vol.12」より

 あなたはビワイチのとき、どの道をどんなふうに走っていますか?
 
 滋賀県が「ぐるっとびわ湖サイクリングルート」として指定している道など、ビワイチによく使われているルートには、湖岸道路などの幹線道路と、裏道となる集落内の道路があります。

 特に気をつけたいのは、集落内の道路を走るときです。大通りから離れて気がゆるむのか、注意力が下がって接触事故が多くなり、また並列走行をするなど交通ルールを守らない走り方が散見されます。幹線道路から高スピードで突っ込んでくる自転車が怖いと、近隣の住民より苦情が出ています。路面があまりよくないこともあり、集落内では速度を落として一旦停止や安全確認を十分に行う必要があります。

 では、幹線道路ではのびのび走ってよいかというと、必ずしもそうではありません。滋賀で暮らす人にとっては、どの道も“生活道路”です。自分が日々の買い物や通勤などに使う道を、冒険やトレーニングや旅という、いわば“遊び”で走るサイクリストが我が物顔で通ると、迷惑に思う人もいるでしょう。誰もが利用してよい公道は、誰もが他者を思いやって通行するのがマナーです。「自動車歩行者専用道では歩行者優先」などの交通ルールを守るのは当然のこと、周囲に気を配って柔軟にスピードを落とす、後続車のために脇へ寄る、大勢のときには隊列を短く分けるといった生活者への配慮が欠かせません。

 今年に入り、「荒川サイクリングロード」と呼ばれる東京の緊急用河川敷道路で、大量の釘が故意にまかれたと見られる事件が何度も起こっています。マナーの悪いサイクリストが事故を起こすという問題のあった道だそうで、自転車を快く思わない人による行為かもしれません。ビワイチに挑戦する人は年々増え、これからは生活者との軋轢が大きな問題になってくるでしょう。ビワイチ・サイクリストが、地元の人たちから歓迎される存在になるように、「ここは生活の場である」ことを、一人ひとりが心がけて走ることが大切です。

(輪の国びわ湖推進協議会 運営委員  南村多津恵)